2004年度 石川県立博物館

 発掘された日本列島・2004年と石川県立博物館                                              

   新発見考古速報展の開催にあたり、文化庁長官 河合 隼雄

 昨年も、又、今年に入ってからも、人々を驚かす埋蔵文化財の新発見のニュースが続々と伝えられています。何故、私たちは、これほどまでに埋蔵文化財に対して、興味や関心を持ち、心躍らせるのでしょうか。その理由は人それぞれにあるものでしょうが、恐らく、全国に44万箇所もの遺跡があり、毎年数千件の発掘調査が行われているように、極めて身近な存在であると共に、地下に残されてきた文化財が、我々の拠って立つべき国や地域の文化や歴史を考える上で欠くことのできない価値を発揮するものであるからなのでしょう。とはいえ、埋蔵文化財は土木工事などで失われていくものであります。こうした埋蔵文化財を保護・保存しょうと努力することや、それを許容する社会こそが、成熟した市民社会の証し、そして、我々の文化力といえるのではないでしょうか。

 さて、毎年数千件の発掘調査が行われると述べましたが、これだけの数になりますと、様々な報道などを通じてでも、国民の皆様お一人お一人の目に触れるものは、発掘調査結果のごく一握りにすぎません。又、通常、埋蔵文化財の調査の成果を皆様にお見せできるのは、地元での展示会など限られた機会です。これでは、埋蔵文化財やその保護の重要性について、国民の皆様の十分な理解を戴くことは難しいでしょう。

 この展覧会は、そうした事態を少しでも解消し、出来るだけ早く出来るだけ多くの方々に、注目される埋蔵文化財の発掘調査の結果を見ていただくことを目的としています。土の中から目覚めたばかりの成果です。肩肘をはらず、気軽な気分でご覧下さい。そして、何かしらを感じ取っていただき、埋蔵文化財に対する一層のご理解につながれば幸いです。

 今年度は1995年度の開始以来、十回目の節目の年に当たりますが、東京都江戸東京博物館をはぎりに、群馬県立歴史博物館、花巻市博物館、石川県立歴史博物館、奈良市美術館、高知県立歴史民俗資料館、神戸市立博物館の順に、来年二月下旬まで巡回します。例年と同様、各開催館では、全国を巡回する中核展示品と共に、各地域の発掘資料をテーマに添って展示いたします。

 本展覧会の開催にあたり、共催していただいた全国公立埋蔵文化センター連絡協議会、全国埋蔵文化文化財法人連絡協議会、各開催館、貴重な文化財をご出品戴きました各機関、特別協力戴きました朝日新聞社、インターネットミュージアム事務局、等など関係各位にこころからお礼を申し上げます。

20046月 河合 隼雄

発掘された日本列島・2004年は特別展示のため撮影が出来ず、常設展示場の縄文時代の展示のみとなりました。

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