蒔前遺跡(まくまえ)

 

重要文化財

   

指定年月日:H6.6.28
所在地:一戸町岩舘字御所野
所有者:一戸町


  蒔前遺跡から出土した遺物のうち、重要文化財に指定されたのはいずれも一戸町で所有している土器158点、土製品20点、石器54点、石製品20点、大殊1点の合計235点です。いずれも東北地方の縄文時代晩期の亀ヶ岡文化を代表する遺物で、きわめて豊富な内容となっています。

  土器は、深鉢形土器、鉢形土器、台付鉢形土器、注口土器、壺形土器、皿形土器、香炉形土器、小形土器などがあります。一般に縄文時代後期から晩期の土器は、文様のない日常使用する土器と特別な時に使用する飾られた土器とがありますが、指定になった土器は、深鉢形土器・鉢形土器・壺形土器の一部を除いて、大半は特別な時に使用される飾られた土器です。これは蒔前遺跡の出土品のように正式の発掘調査でなく土器堀りのようにして集められた場合、どうしても飾りの付いた土器が多く集められるからだと思います。実際の調査ではかざりのない土器の方が圧倒的に多く出土します。

  土製品は、土面、土偶、亀形土製品の3種類あります。なかでも、「鼻曲り土面」は、蒔前遺跡を代表する遺物で、縄文時代を代表する土面として広く知られています。もう1点の土面は形態も全く異なっており、同じく縄文時代晩期の特殊な皿状の土面です。
 石器は磨製石斧、打製石斧、掻器、磨石、凹石、敲石、石皿、石槍未製品などいずれも縄文時代の石器としては一般的な石器です。おそらく石器も多量に出土したものと思われますが、その一部が現在まで残されてきたものと思われます。特に剥片石器と呼ばれる打ち欠いて鋭い刃部を作った掻器などは、現在あるもののほとんどが指定されています

  石製品は、石剣、石冠、円盤状石製品、岩版の4種類ですが、石剣が14本と圧倒的に多く、その他岩版は意外に数が少ないですが、縄文時代晩期の馬淵川を代表する遺物のひとつと言われています。